世界中で爆発的な人気を誇る『俺だけレベルアップな件』ですが、インターネット上で検索しようとすると俺だけレベルアップな件パクリという言葉を目にして驚いた経験があるかもしれません。
あまりにも有名な作品であるがゆえに、既存の名作漫画との類似点や設定の共通部分が注目されやすく、中には元ネタではないかと噂される作品との関係性が気になる方も多いはずです。
この記事では、多くのファンを惹きつけてやまない本作がなぜパクリと言われてしまうのか、その理由や背景にあるジャンルの歴史、そして他作品とは一線を画す独自の魅力について詳しく解説していきます。
この記事のポイント
- ハンターハンターや類似作品との具体的な共通点と違い
- アニメ化における設定変更や炎上騒動の背景にある事情
- 作者死亡説という噂の真相と作画担当者の功績
- パクリと言われても多くの読者を魅了する独自の面白さ
俺だけレベルアップな件のパクリ疑惑とハンターハンター
- キメラアント編と済州島レイドの共通点や違い
- メルエムとベルは似てる?蟻の王のデザイン検証
- ステータス画面やシステム設定の元ネタを徹底調査
- グロい描写が気持ち悪いという評判の背景にある理由
- ワールドトリガーなど他作品との違いと独自の魅力
キメラアント編と済州島レイドの共通点や違い

『俺だけレベルアップな件』において最も頻繁に議論の対象となるのが、物語の中盤で描かれる「済州島レイド編」と、冨樫義博氏による人気漫画『HUNTER×HUNTER』の「キメラアント編」との類似性です。
両者には確かに、人間を捕食して進化する蟻型のモンスターが登場し、島などの隔離された地域を巣食う敵に対して討伐隊が結成されるという大枠の設定において共通点が見られます。
具体的には、女王蟻がコロニーを形成し、やがて最強の王を生み出すという生物学的なヒエラルキー構造や、ハンターたちが精鋭チームを組んで敵の本拠地に乗り込むという展開が似ていると感じる読者が多いようです。
しかし、物語が進むにつれて描かれるテーマや目的には明確な違いがあります。
両作品の魅せ方の違い
『HUNTER×HUNTER』では、異なる種族間の生存競争や相互理解の難しさ、そして善悪の逆転といった哲学的な問いかけが重厚に描かれています。
一方で『俺だけレベルアップな件』の済州島レイド編は、主人公である水篠旬の圧倒的な力を誇示するための舞台としての側面が強く出ています。
絶対的な悪として描かれる蟻たちを、主人公がいかにして蹂躙し、仲間や社会を救うかというカタルシス(爽快感)の追求に重きが置かれているのです。
設定の枠組みは似ていても、読者に提供しようとしているエンターテインメントの質や物語のゴールは別物であると考えられます。
以下の表に、両作品の主な要素を比較して整理しました。
| 比較項目 | HUNTER×HUNTER (キメラアント編) | 俺だけレベルアップな件 (済州島編) |
| テーマ | 種の生存競争、相互理解、善悪の逆転 | 圧倒的な力の誇示、主人公による救済 |
| 主人公の行動 | 復讐のために人間性を捨て、大きな代償を払う | 遅れて到着し、圧倒的な力で一方的に敵を制圧する |
| 敵の役割 | 哲学的問いかけを投げかける存在 | 主人公の強さを引き立てる「倒すべき悪」 |
メルエムとベルは似てる?蟻の王のデザイン検証

キャラクターデザインの面で特に指摘されるのが、『HUNTER×HUNTER』の「メルエム」と、『俺だけレベルアップな件』に登場する蟻の王「ベル」の類似性です。
両者は共に人型に近い形態をしており、昆虫特有の外骨格や長い尻尾、そして生まれた瞬間から他者を圧倒する戦闘能力と傲慢さを持っています。
視覚的なインパクトが強いため、パクリではないかという印象を抱く人がいるのも無理はありません。
ただ、物語内でのキャラクターの変遷を見ると、両者の役割は大きく異なります。
メルエムは人間との対話や軍儀というゲームを通じて精神的な成長を遂げ、最終的には暴力ではなく愛を知って最期を迎えるという、非常にドラマチックで悲劇的な結末を辿ります。
彼の物語は、読者の心に深く刻まれる感動的なものでした。
これに対してベルは、主人公である水篠旬の圧倒的な力の前に屈服させられ、忠実な配下である「影の兵士」となります。
その後は、恐ろしい外見とは裏腹に、主人公に仕えることを喜びとするコメディリリーフ的な役割や、マスコットキャラクターのような愛嬌を見せるようになります。
デザインの出発点は似ていたとしても、最終的に到達したキャラクターとしての立ち位置は対照的であり、これが『俺だけレベルアップな件』ならではの楽しみ方の一つになっています。
ステータス画面やシステム設定の元ネタを徹底調査

本作の特徴である「目の前に現れるステータス画面」や「デイリークエスト」「レベルアップ」といったシステム設定に関しても、元ネタが存在するのではないかという議論があります。
実際、現実世界にゲームのようなシステムが適用される設定は、2013年頃から連載が開始されたウェブトゥーン『The Gamer』などが先駆けとして知られており、韓国のウェブ小説界では「LitRPG(文学RPG)」や「レイイド物」として広く普及しているジャンルです。
また、現代社会に突如としてゲートが開き、ハンターという職業が生まれる設定については、2012年の小説『I Am a Noble』などがジャンルの始祖とされることがあります。
このように、ダンジョンやステータス画面、ランク付けといった要素は、特定の作品から盗用したというよりは、長い時間をかけて形成されたジャンル特有の「お約束」や「テンプレート」であると捉えるのが自然です。
『俺だけレベルアップな件』は、これらの先行作品が積み上げてきたジャンルの文法を巧みに取り入れつつ、圧倒的な作画力と演出で視覚化し、エンターテインメントとして完成させた作品と言えます。
多くの読者が熱狂したのは、設定の新しさよりも、その設定を使って描かれる主人公のサクセスストーリーの完成度が高かったからでしょう。
グロい描写が気持ち悪いという評判の背景にある理由

インターネット上の口コミや感想を見ていると、本作に対して「グロい」「気持ち悪い」といった意見が見受けられることがあります。
これは主に、モンスターによる人間への捕食シーンや、戦闘における四肢の切断といった暴力描写が、一部の読者にとっては刺激が強すぎることが原因と考えられます。
特に序盤のダンジョンでの絶望的な状況や、蟻編における残虐な描写は、ホラー映画に近い恐怖演出がなされています。
しかし、これらの描写は単に不快感を与えるためだけにあるのではありません。
敵であるモンスターの脅威や残忍さを強調することで、その後に主人公がそれらを一掃する際の爽快感や安心感を最大化するための演出として機能しています。
絶望が深ければ深いほど、それを覆した時のカタルシスは大きくなるものです。
とはいえ、流血表現や残酷な描写が苦手な方は注意が必要かもしれません。
逆に言えば、ダークファンタジー特有の緊張感や、容赦のない世界観を求めている読者にとっては、このハードな描写こそが作品の魅力の一部となっています。
ワールドトリガーなど他作品との違いと独自の魅力

『俺だけレベルアップな件』がパクリ疑惑を持たれる際、設定の一部が似ているとして比較対象に挙げられる作品の一つに、葦原大介氏による日本の人気漫画『ワールドトリガー』があります。
確かに、異次元からの侵略者に対抗するために組織(ボーダー/ハンター協会)が結成され、隊員たちがランク付けされているという舞台設定には共通点が見られます。
しかし、実際に両方の作品を読み込んでみると、物語が目指している面白さのベクトルは正反対と言っても過言ではないほど異なっていることが分かります。
ワールドトリガーの特徴と魅力
『ワールドトリガー』の最大の魅力は、緻密に計算された「集団戦」と「戦略」にあります。主人公の一人である三雲修は、戦闘能力自体は非常に低く描かれていますが、知恵と工夫、そして仲間との連携を駆使することで格上の相手に立ち向かいます。
個人の力が突出していたとしても、戦術や地形、チームの相性次第で勝敗が覆るという、非常に論理的でスポーツライクな駆け引きが展開されるのです。
読者は、制限された戦力の中でいかに勝利を掴むかというプロセス自体を楽しみます。
俺だけレベルアップな件の特徴と魅力
一方で、『俺だけレベルアップな件』が提供するのは、圧倒的な「個の力」によるカタルシスです。
タイトルが示唆するように、この世界でレベルアップできるのは主人公・水篠旬ただ一人です。
周囲のS級ハンターたちが成長の限界や才能の壁に縛られている中で、彼だけがゲームシステムを通じて無限に強くなっていきます。
ここでは、複雑な伏線や頭脳戦を読み解く疲れは一切ありません。
絶対的な強者となった主人公が、かつて見下されていた相手や強大なモンスターを単独で蹂躙し、絶望的な戦況を一瞬でひっくり返す様をダイレクトに楽しむことができます。

いわゆる「俺TUEEE」と呼ばれるジャンルの王道を行く構成ですが、その描写のクオリティと演出が極めて高いため、読者は理屈抜きの爽快感を得られるのです。
たとえ主人公が「影の軍団」という多数の兵士を使役するようになっても、それは『ワールドトリガー』のような対等な仲間との連携とは本質的に異なります。
あくまで絶対君主である主人公の指揮下にある「力の一部」として描かれており、焦点は常に主人公個人の圧倒的な支配力に当てられています。
両者は別の面白さを持つ作品(重なる部分はあるけど)
このように考えると、両作品は「似ている」というよりも、それぞれが異なる読者のニーズに応えるために特化した、別のエンターテインメントであると言えます。
緻密な頭脳戦を楽しみたいなら『ワールドトリガー』。
日頃のストレスを吹き飛ばすような爽快な無双劇を楽しみたいなら『俺だけレベルアップな件』。
したがって、設定のガワ(外側)だけを見てパクリと断じるのではなく、中身のエンジン(面白さの核)が全く別物であることを理解すれば、それぞれの作品が持つ独自の魅力をより深く味わうことができるでしょう。
このシンプルかつ力強い物語構造こそが、言葉の壁を越えて世界中のファンを熱狂させた大きな要因なのです。
俺だけレベルアップな件はパクリか?アニメ化や炎上の真相
- アニメにおける反日描写の修正と日本蔑視の噂について
- 作者死亡説は本当?作画担当の訃報とデマの真相
- 似てる漫画として名前が挙がる作品やフォロワーの系譜
- ソウルステーションなど韓国マンガの類似作品と比較
- 俺だけレベルアップな件のパクリ疑惑に関する総括
アニメにおける反日描写の修正と日本蔑視の噂について
原作の小説や漫画版には、物語の後半において日本のハンター協会が悪役として登場し、韓国のハンターを陥れようとする展開が含まれています。
このような描写から、一部で「反日作品ではないか」「日本蔑視だ」という批判的な声が上がり、炎上騒動に発展することもありました。
これが「パクリ」という言葉とともに検索されるネガティブな要因の一つになっています。
アニメ化や日本国内での展開にあたっては、こうした政治的な論争や不快感を避けるために、大幅なローカライズ(設定変更)が行われています。
例えば、物語の舞台をソウルから東京に変更したり、主人公の名前を「ソン・ジンウ」から「水篠旬」に変更したりしています。
さらに、原作で「日本」として描かれていた敵対勢力は、アニメ版や一部の翻訳版では「DFN」という架空の東アジアの島国に変更されるなどの配慮がなされました。
これらの変更により、原作を知るファンからは「設定が変わりすぎている」「違和感がある」という声も聞かれますが、これはパクリというよりは、国際的な展開を見据えた上での苦渋の決断とも言える改変です。
純粋にエンターテインメントとして楽しんでもらうための措置であったと理解されています。
作者死亡説は本当?作画担当の訃報とデマの真相
検索キーワードの候補に「作者 死亡」といった言葉が出てくることがあり、驚かれる方もいるかもしれません。
これについては、情報の混同による誤解が含まれています。まず、原作小説を執筆したChugong(チュゴン)氏はご健在であり、現在も活動を続けられています。
訃報が伝えられたのは、ウェブトゥーン版(漫画版)の作画を担当していたDUBU(ジャン・ソンラク)氏です。

DUBU氏は、Redice Studioの代表として本作の圧倒的なビジュアルを作り上げ、世界的なヒットに導いた立役者でしたが、2022年7月に脳出血のため急逝されました。
この悲しいニュースが広まる過程で、「作者が亡くなった」という情報だけが独り歩きし、原作者のことだと誤解してしまった人がいたようです。
DUBU氏が遺した美麗なアートワークと迫力ある戦闘描写は、今のウェブトゥーン業界における一つの到達点として高く評価されており、彼がいなければ本作の成功はあり得なかったと言われるほどです。
現在連載中のスピンオフ作品などは、彼の遺志を継ぐ新たなクリエイターたちによって制作されています。(漫画家・DUBUさん死去 37歳 人気ウェブコミック『俺だけレベルアップな件』作画を担当-オリコンニュース)
似てる漫画として名前が挙がる作品やフォロワーの系譜
『俺だけレベルアップな件』の大ヒット以降、韓国のウェブトゥーン界では、似たような設定やタイトルを持つ作品が数多く登場しました。
これらは単なるパクリというよりも、ヒット作の要素を取り入れて市場のニーズに応えようとする「フォロワー作品」と呼ぶべきものです。
特にタイトルに「Solo(一人、俺だけ)」や「レベルアップ」「最強」といった言葉が含まれる作品が増加しました。
例えば、『万能プレイヤー(Solo Max-Level Newbie)』は、同じスタジオが制作していることもあり、アートスタイルやエフェクトが非常に似ています。
しかし、主人公の性格がより策略家でトリックスター的な要素が強いなど、差別化が図られています。
また、『限界突破プレイヤー』のように、デザインコードが似ているものの、より筋肉や物理的な強さにフォーカスした作品もあります。
中国のマンファ(漫画)の中には、構図やキャラクターデザインを露骨に模倣したと思われる悪質なコピー作品も存在し、これらが「パクリ」としての批判対象になることもあります。
しかし、正規に流通している多くの類似作品は、ジャンルの流行を追った競合作品として、それぞれの読者層を楽しませています。
ソウルステーションなど韓国マンガの類似作品と比較
パクリ疑惑の中で、特によく比較対象として挙げられるのが『ソウルステーション・ネクロマンサー』です。
この作品は『俺だけレベルアップな件』よりも少し早い時期に連載が開始されており、現代のソウルにダンジョンが出現する点や、主人公がネクロマンサーとして覚醒し、死者を使役するという設定が酷似しています。
ウェブトゥーンやウェブ小説に詳しい読者の間では、初期の設定や展開があまりにも似ているため、影響を受けたことは間違いないと見られています。
しかし、『俺だけレベルアップな件』は後発作品としての強みを活かし、より大衆に受け入れられやすいストーリー構成や、情緒的な動機付け(病気の母のためなど)、そして何よりも圧倒的な作画クオリティによって差別化に成功しました。
以下の表は、両作品の共通点と相違点をまとめたものです。
| 比較項目 | ソウルステーション・ネクロマンサー | 俺だけレベルアップな件 |
| 連載開始 | 2015年(先行) | 2016年(後発) |
| 能力 | ネクロマンサー(死霊使い) | 影の君主(死者を影として使役) |
| 作風 | ハードボイルドでドライ | ドラマチックで王道少年漫画的 |
| 評価 | アイデアの先駆者 | 演出と構成で完成度を高めたヒット作 |
このように比較すると、単なる模倣にとどまらず、既存のアイデアを洗練させ、より魅力的なコンテンツへと昇華させたことが、本作が覇権を握った理由であることが分かります。
俺だけレベルアップな件のパクリ疑惑に関する総括
この記事では、パクリ疑惑の真相や類似作品との関係について詳しく解説してきました。最後に、ここまでの内容を要約してまとめます。
- 俺だけレベルアップな件はパクリというよりジャンルの完成形に近い作品である
- ハンターハンターのキメラアント編と設定上の類似点は確かにある
- 蟻の王ベルのデザインはメルエムに似ているがキャラクター性は異なる
- 物語のテーマは哲学的問いかけではなく主人公の圧倒的勝利のカタルシスにある
- ステータス画面やダンジョン設定はThe Gamerなどの先行作品により確立された様式美
- グロい描写は主人公の強さを引き立てるための演出として機能している
- ワールドトリガーとは違いチーム戦ではなく個人の無双を楽しむ作品
- アニメ版では反日描写を避けるために架空の国DFNなどに設定変更された
- 作者死亡説はデマであり亡くなったのは作画担当のDUBU氏である
- ソウルステーションネクロマンサーとは設定が似ているが演出力で差別化した
- Soloを冠する類似作品は市場のニーズに応えたフォロワー作品群である
- 中国の漫画には悪質なトレースに近いコピー作品も一部存在する
- パクリ疑惑の多くはジャンル特有のテンプレートやオマージュの範疇と言える
- 批判的な意見や炎上も存在するが作品自体の面白さは世界中で評価されている
- 俺だけレベルアップな件はネット漫画で読むのがオススメ